イライラしない方法|感情をコントロールする12個のワザ

『イライラしてもしょうがない』

それは分かっていても、イライラした気分が消えるわけではありません。

嫌なことがあっても平然としていられるのは、もともとイライラしないタイプか、そうでなければ自分なりのイライラへの対処法を身につけた人です。

『イライラしてもしょうがない、良いことがない』

いくらそう頭で思っても、感情がおさまらない以上、道徳ではなくテクニックが必要です。

物理的にイライラを消すテクニックをシェアします。

1. まず客観的になることを優先する

なかなかイライラが収まらない場合、思考が無限ループに入っているケースがほとんどです。特にイライラの原因が自分以外の他人や環境にある場合、答えの出ない思考を続けていると、簡単に脳がパンクしてしまいます。

人間の脳が同時に記憶できるのは、天才クラスでも一度に7つくらいだと言われています。私たち凡人は3つくらいです。

例えば、イライラの原因が10個あれば、それだけで脳がパンクして「とにかくイライラしてしょうがない!」となってしまいます。

イライラが止まらない時、まずは紙に書き出すなど、思考を客観的に見つめる工夫をしましょう。

また、時間を空けることも自分を客観視するのに効果的です。

良くも悪くも、私たちの気分というのは変化します。とくにイライラのような興奮状態は本来消えやすく、強い興奮状態は1時間程度しか持続できません。

なぜならイライラの元である脳内のアドレナリンは本来、一瞬の危機状態に対応するためのホルモンだからです。

そのため、アドレナリンMAXの強い興奮状態が持続するのは1時間から長くて2時間、場合によっては3分程度でアドレナリンの放出は落ち着いてくると言われています。

イライラが止まらないはホルモンのせいだと考えて、むやみに原因を追及するのはやめましょう。

映画の上映時間も1~2時間に収まるようになっていますが、それはどんなに良い映画でも長すぎれば観客のテンションが下がってしまうからです。

イライラすることがあったら、まずは1時間、できれば2時間放置することを意識しましょう。ある程度アドレナリンの放出が落ち着いた後に具体的なイライラの原因への対処方法を考えたほうが良いアイディアが浮かぶはずです。

2. 自律神経のバランスを整える

『温かいお茶を飲んでほっと一息』というのは生理学的にも正しいことです。イライラしている時、怒っている時は自律神経の面からは、興奮神経である交感神経が優位になっています。

交感神経優位の状態から、リラックス神経である副交感神経に切り替えるためには、温かい飲み物を飲んだり、入浴するなどで、体の中を温めてあげるのが効果的なのです。

体の中が温まると、自律神経は高くなった体温を下げようと働きますが、この時、副交感神経が一気に活動を始めます。

逆に冷たい飲み物は体の中を冷やしてしまうので逆効果です。

興奮⇒リラックスへの気分転換は温かい飲み物と覚えておきましょう。

また睡眠不足の状態では、どうしても自律神経のバランスが悪くなります。

ある大手企業の記者会見で社長が「私は寝てないんだよ!」と言って避難されたことがありましたが、現実問題、疲れが溜まっているとイライラしてしまいます。

睡眠不足だと交感神経が働きっぱなしになるので、興奮が抑えられない状態になるのです。

イライラしていると思ったら単純に、「睡眠が足りてないのではないか」「自分が疲れていないか」考えてみましょう。

もし疲れている、と感じるようであれば、必要以上にイライラしている可能性があります。いったん体の疲れをとってから改めて問題を考えてみると、それほどイライラする必要がないことだと気がつくことも多いでしょう。

3. セロトニンを分泌させる

イライラしているとき、脳内ではノルアドレナリンやアドレナリンが過剰な状態です。アドレナリンは「闘争」か「逃走」を行うためのホルモンです。格闘技選手が試合中に痛みを感じないのはアドレナリンのおかげと言われています。つまりイライラしているとき、脳が戦闘モードになっているのです。

戦闘モードに傾いた脳内を平常モードに戻すためには、セロトニンというホルモンを増やさないといけません。セロトニンは落ち着きをもたらすホルモンです。

セロトニンを増やす即効性のある方法は、『リズム性のある運動』です。一定のリズムで体を動かすことは、緊張をほぐし、気持ちを落ち着かせる効果があります。

緊張しているときに貧乏ゆすりをする人がいますが、貧乏ゆすりも精神のバランスをとるために、体が本能的にセロトニンを分泌させようとしているから、と言われています。

ただ、貧乏ゆすりは、あまり見た目がよくないので、手軽に出来る方法として散歩が一番のおすすめとなります。

一定のリズムでテンポ良く歩くことを意識しましょう。

その場でできるリズム運動の代表は「呼吸法」です。

落ち着いた時には深呼吸が有効だと言われますが、ただ「吸って~~、吐いて~~」とやってもなかなか落ち着かない経験もあると思います。

そんな時、気持ちを落ち着ける効果抜群の呼吸法が『数呼吸』と呼ばれる呼吸法です。

やり方は超簡単で、吐くときに数を数えるだけです。

「いーち、(吸って)、にーー、(吸って)、さーん・・」

このように1~10まで数えて、気分が落ち着くまで繰り返します。

『禅』の呼吸法の基礎ですが、とにかく簡単なので、本当におすすめです。

4. 視界を広げると心も広がる

心の動きと体の動きは完全にリンクしています。例えば細かい作業というのは、作業自体がイライラしやすい性質があります。

『心を広く持つ』と言いますが、そのために最も簡単なことは、『視界を広くする』ということです。

私たちが雄大な自然を見て、心が洗われる気がする理由のひとつは、単純に360°のパノラマで視界が一気に広がるからです。

この性質は色々な所で応用できます。例えば狭い室内の話合いはケンカになりやすいですが、公園のベンチで噴水を眺めながら話せばケンカになりにくいです。活用してみてください。

5. スキンシップをとる

スキンシップの効果は絶大です。タッピング療法という体を「ポンポン」と叩くことで免疫力を高める民間療法があるくらいです。またアメリカの実験では、痛みを受けている最中にパートナーから手を握ってもらうと一気に痛みが消えた、という結果も出ています。

出産時に旦那さんが奥さんの手を握る、上司が部下の肩を「ポン」と叩くなど、なんとなくやっていることですが、それら全てが明確に意味がある行動なのです。

相手からだけでなく、自分からスキンシップをとっても同じ効果があります。またスキンシップの対象は人間以外でもOKです。ペットを撫でてあげるだけでもOKですし、車が好きな人であれば、愛情を込めて愛車を磨いてあげることもイライラを取り除いてくれるでしょう。

6. 80:20の法則で考える

パレートという経済学者が発見した『80対20の法則』というものがあります。『80対20の法則』によれば、私たちのイライラの80%は20%の《わりとどうでもいいこと》から発生しています。

例えば上司や部下がバカすぎて、仕事がスムーズに進まずイライラしている時を考えてみましょう。

確かにバカな上司や部下に20%は原因があったとしても、本当は仕事がスムーズに進まない原因の80%は他の要因にある、ということです。

例えばスケジュールや段取りがうまく出来ていれば、少しくらいバカな上司や部下がいても、スムーズに進んでいたかもしれません。

バカな上司や部下という20%の変わらないものに文句を言うよりも、スケジューリングや段取りを工夫するなど、他の要因を改善することで、次回から同じことでイライラする可能性はかなり低くすることができます。

7. 血圧を低くする

よく中高年の男性が怒っているときに「また血圧が上がるじゃねえかよ!」などと言ったりしますよね。

怒る⇒血圧が上がる

これは事実です。ところが、不思議なことに

血圧が上がる⇒怒る

というのも事実です。人間の体と脳はリンクしているので、血圧の高さと怒りやすさは同じ動きをするんです。

血圧が高くて医者に注意されている人が「血圧を上げないために怒らないようにする」のと同じで「怒らないために血圧を上げないようにする」ことも効果があります。

血圧を下げる基本は、塩分を控えること、カリウムを含む食品を多く食べること、そして運動することです。

塩分とカリウムのバランスが取れていないと血圧が過剰に上がりやすくなりますし、運動不足だと、血管の柔軟性が失われてやはり血圧が上がりやすくなります。

生活習慣病の予防だけでなく、日常生活を穏やかに過ごすためにも、血圧には気を配りましょう。

8. 代償行為をやめる

『代償行為』とは、他のことへの怒りが別の対象へ向けられることです。

例えば、仕事がうまくいっていない旦那さんが、家で子どもや奥さんの『ちょっとしたこと』にすごく怒ることがあります。

この場合、本人は気づいていなくても、根本的な怒りの原因は仕事がうまくいっていないことなんです。

ところが、仕事場で怒るわけにはいかないので、家に帰ってから、怒りやすい対象として、子どもや奥さんを怒るわけです。

『ちょっとしたこと』はあくまできっかけに過ぎません。

私たちがイライラしている時も、代償行為でイライラしている可能性があります。代償行為であってもなかなか自分は気づくことができません。
この場合、相手にとっては「ただの機嫌の悪い人」「ただの怒っぽい人」に見えてしまい、信用を損ねる原因にもなってしまいます。

自分がイライラしていると気づいたら「最近起こった他のことがイライラの原因になっていないか?」と振り返ってみるクセをつけましょう。

9. 未来の自分と相談する

今のイライラした気持ちに対して『どうしようもない』と思うかもしれませんが、一度考えてみてほしいことがあります。

今までの人生で、今と同じくらいイライラした体験があったはずです。その時のイライラした気持ちはどこへいったのでしょうか?おそらく、既に消えていて、よく思い出せないのではないでしょうか?

どれだけ相手が悪くても、どれだけ運が悪かったとしても、やはり消えてしまうものなのです。

おそらく、今のイライラした気持ちも、半年後、1年後には跡形もなく消え去ります。それを知っておくだけでも、心に余裕ができるはずです。

「5年後の自分はどう思っているだろう?」と想像してみて下さい。きっと「そんなこともあったな~」と思っているはずです。

10. ラベリングテクニック

ラベリングとは、気持ちに名前をつけることです。イライラしているとき、ついつい『むかつく!」と思ったり、言葉に出してしまいます。ここでラベリングを使った場合、「この気持ちは『イライラ』だな」と認識するということです。自分の気持ちに『イライラ』というラベルをぺたっと貼ってあげるイメージです。

たったこれだけのことで、イライラしている自分を1歩離れて、客観的に観察することができ、冷静に行動できるようになります。

なんと『ブッダ』も瞑想しながら、このラベリングを使って自分の煩悩を捨てていき、悟りを開いたと言われています。

ラベリングを極めれば悟りを開くこともできる、、かどうかは分かりませんが、そのくらいラベリングはシンプルですが強力なテクニックです。

※ラベリングの意味が違うのではないか?とご質問を受けました。ここでいうラベリングは、脳科学のラベリング効果のことではなく、仏教や瞑想でいうラベリングを指しています。ややこしくてすいません^^;

11. 『想定内』にする

ホリエモンがよく言っていた『想定の範囲内です』というセリフですが、トラブルや問題を想定しておくことはとても重要です。

実際に対処方法があってもなくても、気持ちの持ち方が全く変わるからです。『想定内』だというだけで、同じトラブルがあっても必要以上に慌てたりイライラすることなく、冷静に対処できます。

さらに脳をだますテクニックとして、何かトラブルが起こった時に、とりあえず『想定内です!』『想定の範囲内です!』と言ってしまいましょう。

『想定内です』と言うことで、私たちの脳は本当に想定内だっただと思ってしまうので、まるで問題の発生を予想していたかのように、落ち着きを取り戻すことができます。

12. 『相対的』に余裕をもつ

私は先日、雨の日に車に泥水をかけられて服が汚れてしまいました。超むかつきました。ついつい「ふざけんなよ!!」というセリフが口をついて出ました。着替えのため仕事には遅れますし、その日の午前中は、ずっとイライラした状態だったのですが、その時、ふと思ったことがあります。

『泥だらけのほうが血だらけよりもマシ』ということです。

以前、ちょっとした事故で血だらけになったことがあったからです。泥であれば、命の危険はありませんし、なにより泥のほうが血よりも簡単に落とすことができます。

問題の大きさで考えると、、

泥だらけ<<<血だらけ<<<<<傷だらけ

ということになります。つまり泥だらけでイライラしているのは、それよりも大きな問題が発生していない証拠ということです。

そもそもイライラした感情が起こるのは、『恐怖』や『危険』が迫っていないからです。

これを私は『相対的余裕』と呼んでいます。

「イライラする=余裕がある」と思えば、少しだけ気持ちに余裕が持てますよね?

まとめ

イライラ=フラストレーションです。

『○○してほしいのに、してくれない』
『○○であるべきなのに、そうなってない』

など、自分の求めるものと結果との間にギャップがある時、私たちはイライラしてしまいます。つまりフラストレーション(=欲求不満)なわけです。

しかも私たちがイライラするとき、その対象のほとんどは相手や環境など、自分の『外側』にあるものです。自分ではコントロールできないものなのです。

『変えられないもの』に焦点を当てていても、いつまでたっても欲求不満が解消されることはなく、イライラがなくなることはありません。

ここで紹介したのは『変えられるものを変える』ためのテクニックです。『変えられるもの』だけに焦点を合わせていけば、次第にイライラすること自体が少なくなってくるはずですよ^^