極限の集中状態「ゾーン」に入るための12個の方法
時間の流れが変わる
「気がついたら2時間も勉強していた」
「練習に熱中していたら日が暮れていた」
このように時間の感覚がなくなるほど、ある行為に没頭した状態を『フロー状態』(flow=流れること)と呼びます。
流れに乗っている状態、ということです。
フロー状態では、常時高い集中力を維持できているので、高いパフォーマンスが行えるだけでなく、勉強や練習であれば、身につくスピードも非常に高いのです。
『フロー』⇒『ゾーン』
「周りの人間がゆっくり動いて見える」
「ボールが止まって見える」
このような極限の集中状態を『ゾーン』と言います。
『ゾーン』に入った時に、多くの人が体験するのが、自分以外がゆっくり見えたり、視覚や聴覚が非常に鋭くなることです。
一流のスポーツ選手は意識的にこの『ゾーン』に入ることができると言われています。
一般人でも、交通事故に遭ったときなどに『周りの景色がゆっくり流れる』体験をすることがありますが、一流スポーツ選手は自分からその状態を作り出しているのです。
タイガー・ウッズ、長島茂雄、イチロー、スピードスケートの清水宏保などが挙げられます。
私たちが今から一流スポーツ選手になることはできませんが、『フロー状態』で仕事や勉強を行ったり、本番では『ゾーン』に入ることができれば、今までとは全く違う、ハイレベルなパフォーマンスを発揮することも可能となります。
実際に、すごく勉強ができたり、仕事ができる人は、無意識的に『フロー状態』を作り出していることがほとんどです。
以前は才能と思われていた『フロー』や『ゾーン』ですが、現在では工夫とトレーニング次第で、ある程度はコントロール可能と言われています。
『フロー』も『ゾーン』も集中力が高まった状態なので区別がややこしいところがあります。
基本的に『フロー』が没頭している状態です。『ゾーン』は『フロー』状態から一時的に発生する極限の集中状態です。
たとえば野球であれば、超一流選手は試合中はずっと『フロー』状態だと思います。さらにバッターボックスに立った時には別次元の集中状態である『ゾーン』に入る、という感じですね。
どちらも目指す方向は同じなので、日常生活においてパフォーマンスを上げたいのであれば、『フロー』状態に入ることを目指せばよいのです。
1. 内発的モチベーション
朝起きたら、出発の時刻まであと15分しかない時など、自分でもびっくりするほど超特急で身支度を整えることができます。
このように緊急性は集中力を高めてはくれますが、それはあくまで一過性であり、自分でコントロールすることはできません。
なぜなら『外発的モチベーション』だからです。
特に長期的な目標の場合、行動を起こしたり集中するためにはどうしても自分自身で自分をドライブする『内発的モチベーション』が必要になります。
タイガーウッズやイチローなどを見れば分かるように、『フロー』を維持したり、最高の集中状態である『ゾーン』に到達するためには、何よりも『好き』であることが大切なのです。
2. 1%のために全力をかける
不利な状況であっても、1%でも成功確率を上げることが大切です。
自分の置かれた状況に対して文句を言っていたら、絶対に『フロー』状態に入ることはできません。
なぜなら、文句を言う=「私はこの状況では最高のパフォーマンスを発揮できません」と宣言しているのに等しいからです。
文句を言う=自分への敗北宣言です。
状況が悪ければ、うまくいく確率が低いのは当たり前です。でも、成功確率が低いからといって、最高のパフォーマンスを行わない理由にはなりません。
野球では4割の確率でヒットが打てれば世界一のバッターです。
どんなスポーツでも、ビジネスでも、人間関係でも、『絶対』は存在しません。
私たちにできるのは、絶対に成功することではなく、成功の確率を1%でも上げることだけです。
1%のために全力を尽くしましょう。
3. 感情を自分で決める
「お金がない・・」⇒パソコンが買えず、インターネットが見られる環境にない人もたくさんいます。
「忙しい・・」⇒ユニクロの柳井社長と比べても忙しいですか?
「上司がムカつく・・」⇒いじめで自殺するほど悩んでいる人と比べても辛いですか?
「集中できる環境がない・・」⇒子育てと家事をしながらビジネスで成功する女性もたくさんいます。
環境や自分の置かれた状況と、自分の感情は全くの別物です。もちろん環境に影響を受けるのは仕方がないですが、大切なのは『区別』することです。
環境を変えようとする努力も必要です。ですが、いざ『これをやる』『集中する』と決めたら、環境や状況に影響されてはいけません。
環境が悪くても、状況が最悪でも、自分の感情だけは最高にすることができます。
もともと、私たちの脳は環境に対応する仕組みがあります。そのため普通の人は雨が降れば気分が悪くなり、嫌なことを言われればイライラします。
嫌な状況に対して気分が悪くなるのは生理的で本能的な反応です。
だからこそ、自分の感情を意識的にコントロールすることが必要です。
そのために必要なのが感情を『認識』することです。
自分の感情を認識できなければ、絶対にコントロールできません。感情に振り回されるばかりです。
認識することができても簡単にコントロールできるわけではありませんが、少なくとも「コントロールしようとする」ことはできます。
感情をコントロールするためのアイディアとして、自分の感情のリストを作るというのがあります。
「つらい」「眠い」「だるい」「気持ちいい」「のっている」「ヤバい」「調子良い」「ムカつく」など、日常的に感じている感情を思い出し、リストにしてみましょう。
そのリストを持ち歩いて時々見直すことで、自分が今どのような感情を抱えているのか?認識するスキルが上がります。
4. チャレンジに燃える
よくマンガのキャラクターが「強い相手ほど燃える」といったセリフを言いますよね?
考えてみると、こういうセリフを言うキャラクターは、ほぼ間違いなく強いキャラではないでしょうか?
そのようなタイプの人間にとっては、大きな舞台、困難な状況というのは、最高のパフォーマンスを発揮するチャンスでもあるんです。
もちろん、一朝一夕にこのような『強キャラマインド』を身につけることはできませんが、普段からチャレンジを楽しむように意識することで近づくことはできます。
このようなトレーニングを意識的に行って、強キャラマインドを身につけましょう。
5. 最高の自分になる
私たちは人の目線や評価を常に気にしてしまいます。ですが『フロー』は自分の内面的な精神状態の問題です。
ここにギャップがあります。
「自慢したい」「褒められたい」といった他人の評価によるモチベーションから、『フロー』体験はもちろん、『ゾーン』に至ることはありません。
あくまで「自分がどうしたいか?」を考えて、そのために努力するようにしましょう。
勝とうが負けようが、成功しようが失敗しようが、それは他人の評価でしかありません。
自分にとって最高の成果を出すこと、最高の自分に近づくことが最も大切なことです。
ジャック・ニコルソンなどの一流ゴルフプレイヤーは、ライバルのパットですら応援すると言われています。
なぜなら他人にポジティブになることは、自分にポジティブになることにつながるからです。
私たちの脳には『ミラーニューロン』というシステムが存在していて、他人をけなせば、自分をけなすのと同じ影響を受け、他人を褒めれば自分を褒めるのと同じ影響を受けます。
自分を高めるためにこそ、他人を褒めることが大事なんですね。
6. 現在に集中する
「過去に囚われるな。未来を夢想するな。今この瞬間に集中しなさい。」というブッダの言葉があります。
過去を思い出している時も、明日のことを考えている時も、考えているのは『現在』です。
過去や未来を考えている状態では、脳の機能の100%を現在の行動に使うことはできません。
以前の失敗を気にしていると『今の瞬間』への意識が薄くなり、『フロー』は遠のきます。
過去の自分、昨日の自分がどのような状態であったとしても、『今の自分』を可能な限り最高に近づけるようにしましょう。
過去に囚われるのは脳のメモリーの無駄遣いです。
昨日の反省に30%、明日の心配に30%、残りの40%で今の仕事や勉強を行おうとしても、集中できるはずがなないのです。
過去の反省や未来の計画がいらないのではなく、反省するときは100%反省する、計画するときは100%計画する、そして集中するときは100%集中することが大切です。
7. プロセスをイメージする
『想像できることは実現できる』と言われています。
目標の達成をイメージすることは大切なのですが、よくやってしまう間違いとして、未来の成功や結果だけを想像して、プロセスのイメージが出来ていないことです。
集中して仕事や勉強に取り組んでいる状態のイメージこそが大切です。
おそらく成功した結果としての、豪華の生活や、住む場所、環境はイメージしやすいのに対して、そのプロセスである、パソコンに向かったり、営業したりすることはイメージしにくいことが原因だと思います。
特に机に向かった作業は動作が少なくイメージしにくいですが、例えば「集中しているとき、どんな姿勢だろうか?」「どんな表情だろうか?」「呼吸はどのくらいだろうか?」といった質問を考えてみましょう。
さらに喫茶店やファミレスなど、場所をイメージしてみたり、時間帯をイメージしておくことで、思った通りに集中できる確率があがりますよ。
8. ドーパミン回路を強化する
私たちの『やる気』を出してくれるのはドーパミンという脳内ホルモンです。
ドーパミンは『報酬回路』と呼ばれていて、快楽が得られると、もう一度その快楽を得るためにやる気がでる、という仕組みです。
麻薬中毒がやめられないのも、麻薬が脳に強い快楽を与えるからです。
これを集中力に応用すると、集中して勉強や仕事に取り組んだ後は、自分にご褒美をあげる、ということです。
さらに効果的にドーパミン回路を強化するには、集中できたときだけの特別なご褒美を用意することです。
例えば、あなたがチョコレートケーキもチーズケーキも好きなのであれば、チーズケーキは集中した後だけにしましょう。
どんなにお金に余裕があっても、集中できたとき以外はチーズケーキは食べてはいけません。
そうすることで、チーズケーキというご褒美を手に入れるためには集中して勉強や仕事に取り組むしかなくなるのです。
脳の仕組みは以外と単純です。うまくコントロールしてあげましょう。
9. とにかく毎日やる
『フロー』というのは、一定の脳の状態です。
つまり脳内の『フロー』回路を強化してあげれば、それだけ簡単に『フロー』に入ることができるようになります。
このような脳の回路形成メカニズムは、九九を覚えたりする記憶作業と同じです。
『LTP』(long term potentiation=長期増強)というメカニズムです。
何度も繰り返すことで九九を覚えたように、『フロー』回路を強化するためには繰り返すしかありません。
しかも時々ではなく、『毎日』集中することが効率的に『フロー』回路を強化してくれます。
なぜなら脳の回路形成のためには、経験や記憶が睡眠中に整理されるプロセスが必要だからです。
これを『レミニセンス効果』と言います。
1週間に1日、10時間勉強するよりも、毎日1時間勉強したほうが、はるかに脳の「集中して勉強する」回路は強化されます。
1日30分でも、1時間でもいいので、とにかく毎日続けるようにしましょう。
10. 日常の動作をコントロールする
たまたまテレビで見た武井壮さんの言葉で印象に残っているものが、
「自分の思ったとおりに動ければ天才」
という言葉です。
まさにその通りだと思いました。
自分が思ったとおりにスイングできればホームランが打てますし、自分が思ったとおりに発声できれば超うまく歌が歌えますよね?
そこで武井さんが行っているのが「普段から自分の思ったとおりに体を動かす」トレーニングなのです。
例えばペットボトルの水を飲む、ボールペンで名前を書く、そういう日常動作においても、自分の動きを意識して、その通りに体を動かすことが大切なのです。
「思ったように勉強に集中できない」と悩んでいる人は、勉強するときだけ自分をコントロールしようとしますが、それでは集中できなくて当たり前です。
練習で出来ないことは本番でも出来ません。
日常生活で出来ないことは勉強する時でも出来ません。
本当に自分をコントロールしたかったら、日常生活でも自分をコントロールすることが大切なのです。
私がオススメするのは、『書く(言う)⇒行動する』というトレーニングです。
たとえば、
「今からこのコップの水を飲む」⇒実際に飲む
「30分間お風呂につかる」⇒実際に30分お風呂に入る
など、日常の無意識の動作を、口に出して、その通りに実行してみましょう。
日常の全てが集中力トレーニングのチャンスになりますよ。
11. 食事で脳のコンディションを良くする
私たちの体は、私たちが食べた物で作られています。
食べ物で特に気をつけないといけないのは、甘い物です。
私たちの脳は糖分をエネルギーにしますが、糖分を取り過ぎると逆に集中力が落ちる結果になってしまいます。
その理由は2つです。
1つはリラックス神経である副交感神経が働いて、興奮神経である交感神経が弱まること。お腹いっぱいになると眠くなるのは副交感神経の働きです。
2つめは血糖値を下げるためにインシュリンというホルモンが放出されることです。
やる気を出すドーパミンやアドレナリンもホルモンなので、体内のホルモン生産能力の大半がインシュリンの製造に当てられると、ドーパミンやアドレナリンを作る能力が落ちてしまいます。
食事は腹8分に留め、甘い物を大量に食べることはやめましょう。
実際に『ゾーン』を経験した人なら分かると思いますが、『ゾーン』の状態では、頭の回転が異常に速くなります。
脳内の信号伝達速度が最高の状態です。
脳内の信号というのは、結局のところ電気信号です。
金属のように電気が通りやすい物質と木材のように電気が通りにくい物質があるように、信号が流れやすい脳の状態と信号が流れにくい脳の状態があります。
脳内の信号伝達速度を上げるためには、物理的な側面からも脳のコンディションを良くする必要があります。
そのために『脳に良い』とされる栄養素を積極的に摂取することがおすすめです。
最も有名なのはDHAで「頭を良くする栄養素」と言われます。
一流のアスリートは頭脳も一流です。
『ゾーン』というとスポーツ関係の話題が多いので、栄養素としてもプロテインやアミノ酸系にばかり注目してしまいがちですが、脳の栄養状態にこそ気を配りましょう。
12. 自分流の儀式を決める
アスリートの中でも、飛び抜けて高い集中力を持つ人といえばイチローですよね。
イチローがバッターボックスに入った時の一連の動作は、彼なりの「ゾーン」に入るための儀式だと言われています。
ただしイチローほどの能力があれば、わずか数秒の動作で集中できるのでしょうが、凡人の場合はもう少し時間をかけた儀式にするほうが良いでしょう。
参考までに私が、自宅で勉強や作業に集中する場合の手順(儀式)を紹介しておきます。
- パソコンの電源を落とす
- DHAのサプリを飲む
- コーヒーを淹れる
- 最初の15分を根性で乗り切る
目の前の作業に集中するために、余分な情報に手が届かない状態を作っておきます。パソコンを使う場合でも、インターネット接続を解除するようにしています。
以前はエスタロンモカなどのカフェインの錠剤を飲んでいましたが、摂りすぎは健康に悪い上に、イライラしたり落ち込みが激しいので、ここ数年はDHAが一番お気に入りです。リラックスした状態で思考が明晰になるのでインプット・アウトプット問わず、あらゆる作業に向いていると思います。
カフェインの摂りすぎは良くないのですが(笑)コーヒーの香りがすごく好きなので。。嗅覚は本能と直結しているので好きな香りを嗅ぐとドーパミンが出やすいとも言われています。
脳の特性上、特定の作業を15分程度行うことで、側坐核(やる気を出すところ)が活発化することが分かっています。なので、最初の15分だけはとにかく続けるように意識しています。
あまりスマートではないかもしれませんが、私が実際に勉強したり自宅で仕事をする時に「意識的に」行っている儀式です。
このやり方で英語を勉強してTOEIC900点を超えることができましたし、この記事のような何千字もの長い文章を書くこともできています。
これはあくまで参考で、重要なことは「自分なりの儀式」を決めることです。
ちなみに、私が集中の儀式の中で飲むDHAサプリはこちらです↓
『きなり』
日本一のDHAサプリを目指して作られただけあって圧倒的な完成度です。従来のDHAサプリの問題点が全て解消されています。
【特徴】
学習・デスクワーク系の目的で集中したい場合はかなりおすすめですね。
普通のDHAサプリと違って魚臭くないので、TOEICの前にも飲みましたし、場所と時間を選ばず使用できます。
まとめ
極限の集中、至高体験とも言われる『フロー』や『ゾーン』ですが、特別な人しか体験できないものではなく、私たちは既にそれに近い体験をしてきたはずです。
ゲームやネットサーフィンに夢中になったり、何時間もプチプチを潰したり(笑)、『没頭』する体験があったはずです。
一流と普通の人の違いは、没頭できるかどうか?ではなく、自分の望むものに没頭できるかどうかなのです。
自分の望むものに没頭している瞬間は、間違いなく最高に幸せな瞬間だと思います。
何かしらのヒントになれば幸いです^^
【参考文献】
辻秀一『ゾーンに入る技術』
メンタルトレートレーナーの著者による「ゾーン」についての解説書です。ゾーンやフロー体験についての本はたくさんありますが、こちらの本はとても分かりやすくまとめられていて、本記事を書く上でも参考にさせていただきました。